青函連絡船の思い出と我が人生航路 239
青函連絡船 十和田丸
船長(甲板上の指揮)
海技従事者の免許は船舶職員法に細かく決められているが、詳細を省き実際の運用について触れる。免許を取得しても直ちにその職に就く事は出来ず、経験を重視するのは、業務の性格から尤もと考えられている。
青函連絡船の船長について云えば、当時としては国内の大型客船であり、先進の技術を採用し、海の難所である津軽海峡の航海等が考慮されていた。更に洞爺丸事故の教訓から、「ノーモア洞爺丸」の精神が生かされ、より上級の海技免状が求められると聞いていた。
すなわち外国航路並の甲種船長免状、のちの一級海技士(航海)免許が必要だった。第54話のよう免許試験には一定の乗船経歴を要し、更に取得後も会社が十分と認め、初めて実務に就くことが出来る。何重ものチェックを受けるようなもので、これは青函連絡船に限らず、何処の船会社もほぼ同じものだった。
船長の業務は大変多く一口に言えないが、職務と権限が取り決められており、青函連絡船では出入港の操船指揮が大きな比重を占めていた。これまでにも触れたように、青函連絡船は船長実習という有難い制度があった。これは人事運用で船長への昇職が内定した時点で、ベテランの船長の経験が豊富な海務監督の座学、そして実際の船長から操船法を習った。
アッツ桜
他に余り例を見ない恵まれたもので、大体の心の準備や実務の感覚をつかむことが出来た。副産物として人事はマル秘であったが、船長へ昇職についてはみんなの知るところとなった。いくら事前実習をしても、第88,89話のよう、いろいろ思うようにならないものだった。
船長の職務のひとつに甲板上の指揮と言って、操船上危険の多く発生し易い水域や状況で自ら、操船の指揮をとらなければならない。(船員法第10条)これには出入港、狭水路、視界不良、そのた危険な状況が含まれる。
航海士として航海当直では、余り船長が昇橋してほしくないのが本音だろう。しかし霧で視界が悪くなったり、大時化になると船長に報告しなければならないし、自ら指揮をとることになる。
専用岸壁
いつかも書いたが「言うことキカンチョウ、仕事センチョウ」等と揶揄されることがあったが、まんざらでもなくて、船長があまり頑張らなければならない状況は、あまり望ましくないのかと、変な納得もあった。
船長実習資料の一部
真面目に戻り船長から見れば、通常は航海当直をそれぞれ航海士に委任するわけで、状況にもよるが大方は船長の責任になる。また航海士のミスは大事故につながる場合が多い。すなわち一刻を要するのが、衝突と火災である。常日頃から各々の能力を見極め、しっかり指導監督にチームワークが、「事故防止に大切と考えていた。




この記事へのコメント
二等航海士の方は本当に残念で、ご遺族のお話を聞けばお気の毒に思います。
やはり韓国船とは根本が違います。比較にならないでしょうね。