青函連絡船の思い出と我が人生航路 515

画像

         青函連絡船 十和田丸









      紙一重





長らく乗っている車の水温計の指針が、微妙にずれて気になり、ディーラのサービスアドバイザーに伝え、対応を依頼していた。原因はラジエーターが古くなり、水の循環が悪いためとの返答だった。



車検前よりも高温を指し、オーバーヒートの区別がつき難いので、何度も足を運んだが、よく分らないし、担当したサービスエンジニアも同じ見解とのことだった。



サーモスタットが狂っているのでないか、何度聞いても調べるには、かなり難儀な作業が伴うとの繰り返しだった。25年間も乗る古い車なので、あまり強くも言えず控え気味だった。


この車が長く快調なのも、2代前のアドバイザーが、長期間にわたり状態を掌握し、適切な保守整備をしてくれていたことが大きかった。県外に転勤になりアドバイスが受けられないハンディーは大きかった。



一ヶ月以上様子を見ていたが、ユーザーの感覚もばかにならず、メカニックほど専門的な技術は無くても、肌に感じる点はあった。



画像

         左が水温メーター(ほぼ正常値を指す)
          (これが一段上の目盛りと赤マークの間では異常が分かるはずが?)




この車は渋滞時に水温が上がりやすいが、すいすい走るようになれば正常値に戻るのも早かった。それがどんな状態でも、ほとんど下がらないのは、異常としか考えられなかった。25年間も見続けていれば、自然と体が覚えている。



ちょうど私用で忙しい最中だったが、意を決しかなり強くお願いした。今度はかなりベテランの責任者が対応したのか、これはサーモスタットが悪いようで取り替えると、手のひらを返した回答に、こちらが唖然とした。



どう考えてもサービス工場内の、意思の疎通が図られていないか、窓口の勘違いしか、プロなら考えられなかった。予想通りサーモスタットを新替すると、もと通り調子はよくなったが、車を壊す恐れの悪夢を見るようだった。しかし長い付き合いでは、持ちつ持たれつでもある。




船乗りは誰も横傾斜が気になり、特に船長やチーフオフィサーなら、船体のアップライト
(直立状態)に神経質で、一般に気付かないぐらいでも体感となる。



逆に船体や積荷など状況により異なるが、一般に船は大雑把でも、ほとんどの場合それほど心配ない。



そんな余裕があるが尊い命を預かり、またファンネルマークを信ずる荷主さんに対し、最善を追求するのが、私たち船乗りに課せられた宿命である。


当時は国内で最多の乗客を誇る旅客船として、青函連絡船で働くことは非常にやりがいがあった。これまで何度も触れてきたが、努力次第で自分の身の丈に合ったものにできる。


少し他の面から考えるが、スポーツ界でスーパースターと謳われる方々は、おそらく種類や分野に関係なく、どんな競技をしてもずば抜けた存在だろう。


それは学問や他の部門でも共通し、その道の数少ない天才であり、選りすぐられた集団の中でも別格であろう。世の中の大方は、いろいろ与えられた条件で、本人の努力や周囲の理解に運も係わり、成功や失敗に泣き笑いこそ、ほとんどの人生航路そのものと思われる。



我にかえり何とか自分の持物を全て出しながら、足りない部分を努力で補い、運と周囲の人々に恵まれた結果が、青函連絡船にピッタリ合い、自分とり最善で最高の天命に恵まれ有難いと感謝している。


先日ひとりの友人からカラオケに誘われ、グループの人たちは初対面であるが、歌を唄えば知らない方々も同じと、ご一緒させてもらった。皆さん教室に通われ、近く地区の発表会に出演予定とさすがだった。


何時も思いながら唄うが、声域があまり広くない自分といえ、一杯に使えるキーの選曲により変更せず、楽しんでいるがまるで青函連絡船の業務を偲ぶようである。



そんな訳でいつも同じ持ち歌に、知人は飽きてもマイペースである。サービスタイムで一人当たり10曲近く唄い,初顔もあり後で少し疲れた。



宴会の二次会を除けば、カラオケボックスは10年以上も行ってないと思う。くしくも友人は入院予定があり、自ら自分の壮行会であり、激励会と位置づけていた。いろいろ人生航路の、ご安功を祈るこの頃である。





画像

        第48番目(56中)の青函連絡船 摩周丸(2代目)













この記事へのコメント

mukasinohito
2018年10月17日 22:06
車の水温の件流石だと思いました。それにしても、25年も乗り続けておられるとは、脱帽です。車への愛は相当なものでしょう。
2018年10月18日 20:30
車も生き物と云う気持で接していますが、期待に応えてくれるようで、長く乗っております。
これもたまたま終点近くになり、気付いたというか、落着いたようです。
若い頃はずいぶん乗換えが早く、2年前後と無駄を費やした反省もあります。
現在は公害面から、新替を推奨される意向が強いのも、いつも裏街道を行くようです。
水温計だけでなく、調子自体も長年の勘というのは、不思議と当たるようですね。

この記事へのトラックバック