青函連絡船の思い出と我が人生航路 707
11.25度のナゾ
日常の生活で方位(方角)は、それほど関わりがないかも知れないが、東西南北は何となくわかる。
船は方位が分からなければ、安全な航海はできない。目標の見えない太洋では、特に頼りの綱である。
もともと磁石の作用による、磁気コンパスが原点であり、用語や表現も由来する面が多い。
全周囲360度で北(North 略N以下同)から、東(East) 、南(South)、西(West)と、90度の間隔になる(4方点)。
これらの間に4隅点と云い、NE、SE.SW,NWと呼ぶ。4方点と合わせ8主要点といい、90度の半分の45度である。
さらにこの半分が22.5度となり、気象情報で台風の進路や、風向などでいわれる、実用的な方位である。例えば北北東(NNE)、東北東(ENE)、東南東(ESE)・・・・・・・と8方向が加わる。
一般に船舶でも同様の使い方をするから、これらを合計した16方位が、実用的な気象観測の単位のようなものである。すなわち22.5度×16=360度である。
さらに2等分すれば、11.25度(11度15分)の32方点になる。この1分割を1点と呼び、航海術上よく使われ、航海士にはなじみ深い数字でピンとくる。
青函連絡船は新造時に、速力信号を入力し航海中でも、真風向風速を表示していた。やや安定性に欠けるようになり、一般船舶と同じく相対式を使った。
風向と波やウネリの方向は、昼間であれば目で見るが、この11.25度付近は少しでも近い方に繰り入れる。
ふだんは問題にならないが、冬に西寄りの季節風が30m/sクラスの、焼山埼では少しでも正確な情報(テヤマ)を、僚船に知らせ荒天航行の参考にしてもらいたい。
悩ましい観測になるのは、いろいろあるなかで特にふたつ気がかりだった。津軽海峡の風浪やウネリは、海峡の地形に沿い方向が変化する。
同じ西(West)と云え、青函航路の北方では西南西(WSW)か南西(SW)である。南へ行くに従い西(West)から、西北西(WNW)へ変化する場合が多い。
上り便(南行)で波6ウネリ6の、波高6m程度で変針するのは、貨車を積載していることから、良いタイミングで上手に操船しなければならない。
青函連絡船の津軽丸型(客船)は、あれだけの上部構造であるが、ローリング(横揺れ)に案外強い。
渡島型(新貨)はGMが大きすぎ、荒天では同じ針路で航行できにくい。復原性の大小ではなく、その言葉はないかも知れないが、自分では客船のローリング成分が良いと言っている。
客船はCo.190ぐらいで上せられるが、貨物はCo.200度から210度ぐらいでなければ、ローリングが大きく無理であった。
いずれにしても福浦埼付近で、更にのぼせ直さなければいけない場合もある。福浦埼あたり風下に落とし、クリアランスが欲しい訳である。
11.25度というのは、時に微妙なものである。
この記事へのコメント
吹きはじめとか、短時間でしたら、波浪も小さく問題もなかったと思います。
運航マニアルを作成するときに、調査しましたが、確か9年間の本格的な時化について、のるかそるかいわゆる休止か継続かというデータO思い出します。
30mを超え超弩級で、40回は運航を続け、30回ぐらいは運休でした。