青函連絡船の思い出と我が人生航路 386

ああ船が曲がらない!



函館さん橋へ着岸中の連絡船が、右転するはずもそのまま岸壁に、突き刺さるような動きをした。幸いベテランC/O(一等航海士)の機転で、アンカー投下など咄嗟の行動により、わずか1メートルぐらい手前で停止した。


一歩まちがえば大変だったが、大事に至らずどんな帰結か知らなかった。複数の関係者やC/O本人の話から、かなり信憑性があった。たまたま函館山方面から、この場面を見ていた船員がいたのも、悪い事は出来ないものだ。


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          この岸壁で


船は車のようにハンドルの通り動くとは限らず、舵輪すなわち舵を動かしても、相手が海水であり複雑な動きをする。


青函連絡船渡島丸型の船長として少し慣れた頃、有川岸壁へ着岸操船中に出航船があり、第三航路付近で減速しやり過ごした。


スピードが遅すぎると舵効きが悪く保針も難しいため、距離が短いが急加速して転舵点に向かった。通常のようにハードスターボード(右舵一杯)をとった。


過大スピードのため前方クリアランス(距離)が少なく、ストップエンジンとした。行脚が5~6ノットあったが、まったく舵がきかず直進するだけだった。

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          中央上方が第三航路(手前白灯台は南口)


舵はプロペラの放出流で効くのを、忘れたわけでなかったが、これほど極端とは考えていなかった。特に青函連絡船のように、C.P.P(可変ピッチプロペラ)では、水流をブロックするので極端だった。


これは船外機やインアウト(船内外機)ドライブを装備の、小型船舶と類似している。一般の大型船(右転1軸)は少しは効果がある。


理論だけでなく可変ピッチの特性を、身をもって実感でき後に役立った。最初のような事態かも知れないと言いたいが、こちらの方がずっと先だった。


そんな切羽詰った状況に無かったので、基本に戻り無事着岸できたが、ほろ苦い経験だった。上記について船長自身にも聞いたし、誰もが気付くほどもろもろあり、このあたりに止めたい。


この記事へのコメント

mukasinohito
2017年02月27日 22:47
確かに、頭では理解している心算でも実際の運用で違う事もありますね、この場合違った訳ではなく思っていたより顕著に現象が出たと云う事だと思います、事故にならず何よりでした。
2017年03月01日 10:25
確かに頭で考えること、理論的なこと、そして現実とのバランスが大切なのでしょうか。
どうも船は思い通りにならない事象が、意外に多かったと振り返っています。やはり自然が相手もあるのでしょう。

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